本物に触れる感動 ― ゴッホ「夜のカフェテラス」と音楽
もうすぐ会期が終わってしまう「大ゴッホ展 夜のカフェテラス」に行ってきました。大変な人気で前売り券はすでに完売。当日券を手に入れるため、朝早くから並び、猛暑の中を約2時間待ってようやく入場することができました。正直なところ暑さはかなり厳しかったですが、それでも「どうしても本物を見たい」という気持ちが勝っていました。展覧会は8月12日まで開催されています。
私にとって、この作品は特別な思い出があります。
数年前、南フランスのアルルを訪れた際、「夜のカフェテラス」の舞台となったカフェの目の前にあるホテルに宿泊しました。朝も昼も夜も窓からその風景を見ることができ、描かれたカフェでは何度かお茶を楽しみました。
夜になると、黄色い灯りが石畳をやさしく照らし、見上げれば南フランスらしい深い青空。100年以上前にゴッホが見つめた景色と、ほとんど変わらない光景が今もそこに残っています。
「ああ、この場所があの名画になったんだ。」
そう思った瞬間の感動は、今でも鮮明に覚えています。
そして今回、その本物の作品を目の前にして驚いたことがあります。
写真や画集で何度も見てきた作品ですが、実際の色彩はまったく違いました。もっと強烈で鮮やかな印象を想像していたのですが、本物は驚くほどやさしく、温かく、柔らかな光に包まれていました。絵の具の質感や筆遣いまで伝わってきて、写真では決して味わえない空気を感じることができました。
「本物には、本物だけが持つ力がある。」
改めてそう感じました。
これは音楽も同じです。
録音や動画でも素晴らしい演奏は楽しめますが、目の前で生まれるヴァイオリンの響き、弦の振動、ホールを満たす音の空気は、生演奏でしか体験できません。
レッスンでも同じことを感じます。動画だけでは伝わらない音色や身体の使い方を、実際に隣で聴き、見て、感じることで初めて分かることがたくさんあります。
芸術は「本物に触れる」ことで、心が大きく動きます。
今回のゴッホ展は、そのことを改めて教えてくれました。
当教室でも、お子さまから大人の方まで、一人ひとりのペースに合わせて「本物の音」を大切にレッスンしています。
もし「ヴァイオリンを始めてみたい」「昔習っていたけれど、もう一度弾いてみたい」と思われている方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽に体験レッスンへお越しください。
一枚の絵との出会いが人生を豊かにするように、一つの音との出会いも、きっと毎日を少し豊かにしてくれるはずです。

