「もっと綺麗な音が出したいの」
先日のレッスンで、とても印象に残る出来事がありました。
レッスンに通っている小さな女の子が、いつもよりずっと上手に曲を弾けました。
音もよく出ていて、リズムも安定していて、これまでの頑張りがしっかり伝わってくる演奏でした。
私は思わず、
「すごいね!頑張って練習したんだね。とても上手に弾けたね。」
と声をかけました。
するとその子は少し考えてから、
「でもね、私はもっと綺麗な音が出したいの」
と話してくれました。
その言葉を聞いたとき、私はとても嬉しくなりました。
小さなお子さんの場合、「できた!」「やった!」という喜びはもちろん大切です。
でも、その先にある「もっとこうなりたい」という気持ちは、誰かに言われて生まれるものではありません。
自分の中から自然に芽生えてくるものです。
ほんの少し前まで、「音が出た!」「最後まで弾けた!」ということを喜んでいた子が、今では自分なりの理想の音を思い描いている。
その成長が本当に素晴らしいなと思いました。
ヴァイオリンのレッスンをしていると、お子さんの成長は演奏だけではないことをよく感じます。
最初は楽器を持つだけで精一杯だった子が、自分で準備ができるようになったり。
間違えると悔しくて泣いていた子が、何度も挑戦できるようになったり。
「先生、見て!」と嬉しそうに弾いてくれたり。
そんな小さな変化の一つひとつが、実はとても大きな成長です。
お子さんを指導するときに大切にしているのは、「できなかったこと」を指摘することよりも、「できるようになったこと」を一緒に喜ぶことです。
もちろん練習は必要ですし、ときには根気強く取り組む場面もあります。
それでも、レッスンが「できないことを注意される場所」になってしまうと、お子さんは音楽が嫌いになってしまうかもしれません。
だからこそ私は、お子さんの気持ちを大切にしながら、一歩ずつ成長できるレッスンを心がけています。
保護者の方からも、
「家では見られない姿が見られました」
「少しずつ自信がついてきたようです」
というお話をいただくことがあります。
私自身、長年レッスンを続けてきて感じるのは、子どもたちは本当にそれぞれ違うということです。
成長のスピードも、得意なことも、性格もみんな違います。
だからこそ、その子に合ったペースで寄り添いながら成長を見守っていきたいと思っています。
先日の女の子の「もっと綺麗な音が出したいの」という言葉。
その一言に、音楽を楽しむ心と、自分で成長しようとする力が詰まっているように感じました。
これからどんな演奏を聴かせてくれるのか、とても楽しみです。
そして、そんなお子さんたちの成長の瞬間に立ち会えることが、私にとって何よりの喜びなのです。

